小さなお灸が、体を動かす。①
小さなお灸が、体を動かす。①
お灸は、ただ体を温めているだけではありません
「お灸って、体を温めるものですよね?」
きっと多くの人が、そう思っているのではないでしょうか。
実は、それは半分正解で、半分はまだ知られていないことがあります。
例えば、寒い日にカイロを貼ると体が温かくなります。
お風呂に入ると、体がポカポカして気持ちよくなります。
では、お灸も同じなのでしょうか?
実は、お灸は**「温めること」が目的ではありません。**
もちろん、温かさはあります。
でも、本当に大切なのは、その温かさを体がどう受け取るかなのです。
少し想像してみてください。
熱いヤカンにうっかり触れてしまったとき。
「熱い!」
と思った瞬間には、もう手を引っ込めていますよね。
「今から手を引っ込めよう。」と考えてから動いたわけではありません。
体がすぐに反応したのです。
私たちの体は、熱を感じると、その情報をすばやく全身へ伝えます。
これは、生きるために備わっている大切な仕組みです。
では、お灸の熱はどうでしょう。
お灸は、ヤカンのようにやけどをさせるための熱ではありません。
「体がちゃんと気づけるくらいの、小さな熱」です。
すると体は、
「何か熱が来たぞ。」
と感じます。
すると、その小さな刺激をきっかけに、体の中ではさまざまな反応が始まります。
神経が働き始めます。
血管が反応します。
血液の流れが変わります。
細胞も「何が起きたのかな?」と反応を始めます。
私たちは、お灸を一つ置いただけに見えます。
でも、体の中では、それを合図にたくさんの仲間たちが動き始めているのです。
ここで一つ、面白いことがあります。
もしお灸が「温めるだけ」なら、
カイロを貼った場所だけが変われば終わりのはずです。
でも、お灸をすると、
「肩が軽くなった。」
「足先まで温かくなった。」
「よく眠れた。」
「お腹の調子が良くなった。」
そんな変化を感じる人がいます。
なぜ、一か所に小さなお灸をしただけで、体全体に変化が起こるのでしょう。
実は、この「なぜ?」を、今の医学や科学が少しずつ解き明かし始めています。
昔の人は、神経という言葉も、細胞という言葉も知りませんでした。
それでも、
「ここにお灸をすると体が変わる。」
ということを、長い時間をかけて観察し、受け継いできました。
そして今、私たちはその理由を少しずつ知ることができるようになっています。
このシリーズでは、
「小さなお灸が、体を動かす。」
というテーマで、お灸をすると体の中で何が起きているのかを、一緒に見ていきたいと思います。
難しい専門用語はできるだけ使いません。
小学生でも読めるような言葉で、でも大人でも「なるほど!」と思えるようにお話ししていきます。
お灸の主役は、「熱」ではありません。
その熱に反応する、あなたの体です。
次回は、
「『熱い!』と感じた瞬間、体の中では何が起きているの?」
というところから、一緒に見ていきましょう。

