「冷え」に慣れてしまった身体で、起きていること
― 気づかないうちに進む、静かな変化 ―
「昔から冷え性だから」
「体質だから仕方ない」
そんなふうに、冷えを当たり前のものとして受け入れていませんか?
けれど実は、冷えは慣れるものではなく、積み重なっていくものです。
そして、慢性的な冷えは、少しずつ、でも確実に身体の働きを変えていきます。
今日は、冷えが長く続いたとき、身体の中で何が起きているのかを、できるだけやさしくお話しします。
① 「温まりにくい身体」になっていく
冷えが続くと、身体はこう学習してしまいます。
「どうせ温まらない」
「熱は大事に取っておこう」
その結果、
- 血管が開きにくくなる
- 手足まで血が届きにくくなる
- 少し温めても、すぐ冷える
という状態になります。
お風呂に入ってもすぐ冷える。
靴下を履いても足先が冷たい。
それは気合いや努力の問題ではなく、身体の反応そのものが変わっているサインです。
② 巡りが悪くなり、疲れが溜まりやすくなる
血の巡りは、
- 酸素
- 栄養
- 回復の材料
を運んでくれています。
冷えによって巡りが滞ると、
- 眠っても疲れが取れない
- 身体が重だるい
- こりや痛みが抜けにくい
といった変化が現れます。
「年のせいかな」と思いがちですが、
実は回復する力が冷えで落ちていることも少なくありません。
③ 自律神経が、ずっと緊張したままになる
慢性的に冷えている身体は、
常に「寒さに備えるモード」に入っています。
これは、
- 交感神経が働き続けている状態
- 身体が休めていない状態
とも言えます。
すると、
- 寝つきが悪い
- 夜中に目が覚める
- ちょっとしたことで疲れる
といった不調が起こりやすくなります。
休んでいるのに、回復できていない。
それが慢性の冷えの怖さです。
④ 内臓の働きが、静かに落ちていく
お腹や腰が冷えると、
- 胃腸の動きが弱くなる
- 食後に眠くなる
- お腹を壊しやすくなる
といった変化が出てきます。
これは、内臓も冷えの影響を受けているからです。
東洋医学では、
「冷えは内から弱らせる」と考えます。
見えないところで、消化・吸収・代謝の力が下がっているのです。
⑤ ホルモンや気分にも影響が出てくる
冷えが続くと、
- 気力が湧かない
- 気分が沈みやすい
- 女性では月経や更年期の不調が強くなる
といった変化を感じる方もいます。
身体が冷えたままだと、
ホルモンのバランスを整える余裕がなくなってしまうのです。
⑥ 冷えは「症状」ではなく「状態」
大切なのは、
冷えを「手足が冷たいこと」だけで判断しないことです。
冷えとは、
巡りが悪くなり
回復しにくくなり
身体が本来の力を出せなくなっている状態
のこと。
だからこそ、
痛み・不眠・疲労感・不調の裏に、
冷えが隠れていることがとても多いのです。
おわりに ― 冷えは、整えることで変わっていく
冷えは、長い時間をかけて作られます。
でも同じように、少しずつ整えていくこともできます。
- 温める
- 巡らせる
- 緊張をゆるめる
そうした積み重ねが、
身体の「当たり前」を取り戻してくれます。
「冷えは体質だから仕方ない」
そう思っている方にこそ、
本当は変わる余地があるのかもしれません。
