自然の速度を思い出す
― 回復とは、自然の歩みに帰ること ―
私たちは、いつのまにか急ぎ足で生きています。
朝は目覚ましに起こされ、時間に追われて仕事をし、
便利さと速さの中で、一日があっという間に過ぎていく。
けれど、からだは本来、そんな速さにはついていけません。
自然の中に生きるいのちは、
春に芽吹き、夏に茂り、秋に実り、冬に休む――
そのようにして、ゆっくりと循環しています。
病や不調は、その自然の速度から少し離れてしまったサインなのかもしれません。
回復とは、新しいことをするよりも、
この「本来の歩み」を思い出すことから始まります。
たとえば、
朝、深呼吸をして朝日を感じてみる。
お茶を一口、味わいながら飲んでみる。
夜、静かな時間をつくって灯りを落とす。
そんな小さなことの中に、自然のリズムが息づいています。
自然は、焦らせません。
花が咲くときも、雨が降るときも、
ただその瞬間を生きています。
私たちのからだもまた、その同じ自然の一部。
回復とは、からだを治すことではなく、
自然の速度を取り戻すこと。
その速度に身を委ねたとき、
からだも、こころも、すこしずつ整っていくのだと思います。
