自然の速度を思い出す 第二編 社会の速度と自然の速度
― ずれを見つめ、調和を取り戻す ―
私たちはいま、かつてない速さの中で生きています。
情報は一瞬で届き、仕事も生活も、便利さと効率で満たされています。
けれどその速さの中で、ふと立ち止まると、
心やからだが追いついていないことに気づく瞬間があります。
「自然の速度が遅く感じる」――
それは、私たちの生きるテンポが、
いつのまにか自然のリズムから離れてしまったということ。
社会の速度と自然の速度の間には、
静かだけれど確かな隔たりが生まれています。
直線と円のちがい
社会の速度は、まっすぐ前へ進む直線の時間です。
成果や効率を求め、休む間もなく走り続ける。
けれど、自然のリズムはそうではありません。
朝と夜が巡り、
春が終われば、また春が来る。
人のからだも、呼吸も、心の動きも、
すべては円を描くように循環しています。
自然の速度は、繰り返しながら深まっていくもの。
速さの中に「戻る」という動きを含んでいるのです。
隔たりが生むもの
社会が速くなりすぎると、
その直線のリズムに合わせようとして、
私たちの内なる円が乱れます。
- 休むことに罪悪感を覚える
- からだの疲れに気づかない
- 季節の変化を感じにくくなる
- 自分の感情を置き去りにしてしまう
これらはすべて、自然との距離が広がったサインです。
その距離が広がるほど、心身の調和は揺らぎ、
やがて「病」や「空虚さ」として現れてきます。
自然の速度に帰るということ
回復とは、
社会の速さを拒むことではなく、
自分の中に流れる自然の速度を思い出すことです。
呼吸をゆるめ、
季節の風を感じ、
小さな営みを味わう。
そうした時間の中で、
私たちはもう一度、生命の円の中に戻っていきます。
それが本当の「調和」への道。
自然の速度が遅く感じるとき、
それは私たちが速くなりすぎているということ。
もう一度、自然の歩幅に合わせてみましょう。
そこに、回復と安らぎの入口があるのです。
