鍼やお灸の「強さ」で、体の反応はどう変わるの?
鍼やお灸は、刺激の強さや深さを変えることで、体の反応が少しずつ違ってくることをご存じですか?
同じツボでも、使う鍼の太さやお灸の熱さを変えると、身体が受け取るメッセージが変わるんです。
今日は、そんな「刺激のちがい」について、やさしくお話ししますね。
鍼の太さや長さで変わる反応
鍼はとても細いステンレスの針を使います。
髪の毛より少し太いくらいで、注射針のような痛みはほとんどありません。
でも、その太さや長さによって、体の感じ方や反応が少し違ってきます。
●細い鍼は、やさしく整える
細い鍼は刺激がやわらかく、体の表面の神経をやさしく刺激します。
そのため、体が「安心モード」に入りやすく、リラックス効果が高いのが特徴です。
初めての方や、疲れが強い方、敏感な体質の方にぴったり。
治療後に「眠くなった」「体がふんわり軽くなった」と感じるのは、このためです。
●太めの鍼は、しっかりほぐす
太めの鍼は筋肉の奥まで届くため、凝りやハリをしっかりゆるめたいときに使います。
深い部分の血流を改善し、**痛みの信号を抑える脳内物質(エンドルフィンなど)**の分泌を促します。
慢性的な肩こりや腰の重だるさ、筋肉の緊張におすすめです。
お灸の大きさや熱さで変わる反応
お灸は、もぐさ(ヨモギの葉から作られたもの)を使って皮ふの上をあたためる治療です。
ほんのり温かく感じるお灸から、少し熱を感じるタイプまで、種類があります。
●やさしい温かさは、心をゆるめる
米粒ほどの小さなお灸を使い、ほんのり温かく感じるくらいで止めると、
体は「安心モード(副交感神経)」に切り替わります。
冷えや疲れ、自律神経の乱れ、眠れないときなどにおすすめです。
体がぽかぽかして、気持ちがほっとゆるみます。
●しっかり熱を伝えると、血流がぐんと良くなる
少し大きめのお灸を使い、熱を少し強めに感じる程度にすると、
皮ふの下の血流がいっきに高まり、老廃物の流れがスムーズになります。
冷えや痛み、こり、慢性的な疲れに効果的です。
“熱い”といっても、やけどをするほどではなく、ツボの反応を引き出すための刺激です。
鍼とお灸、それぞれの刺激のイメージ
種類 | やさしい刺激 | しっかりした刺激 |
鍼 | 細い・浅い▶︎リラックス・安心感 | 太い・深い▶︎血流促進・こり改善 |
灸 | 小さく温かい▶︎体を温め、落ち着かせる | 大きく熱い▶︎活性化、代謝アップ |
強い刺激が「いい」わけではありません
「強く刺激したほうが効きそう」と思う方もいますが、
実は、その人の体調や体質に合った刺激こそが一番の治療になります。
疲れているときはやさしい刺激で整え、
エネルギーが滞っているときは少し強めに動かす。
その時々に合わせて、鍼灸師が“ちょうどいい刺激”を見極めるのです。
さいごに
鍼灸治療は、
「強さ」や「熱さ」を我慢するものではなく、
体が心地よく感じる刺激で、自然に整っていくものです。
鍼もお灸も、刺激のちがいを通して
脳や自律神経が反応し、体を内側から元気にしてくれます。
あなたの“ちょうどいい刺激”を見つけることが、
健康への第一歩かもしれません。